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あの頃の映画 1964〜 - 最新エントリ

カテゴリ
函館(32)


最新エントリ
2008/11/26
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (9:30 pm)

66年正月「望郷と掟」、3月「炎と掟」でシリーズを終え、社風としてやくざ映画に手を焼いた「松竹」は、野村芳太郎、山田洋次監督と親交の有った「東映」加藤泰監督を招聘し、安藤昇作品「男の顔は履歴書」を制作する。評論家大宅壮一氏が対談で安藤昇を表した言葉、そのものをタイトルにしたそれは「やくざ映画」ではないが、その範疇で語られる傑作となった。二作目の加藤作品は「阿片台地 地獄部隊突撃せよ」で、後年「東映」で制作された「懲役十八年」と共に、「加藤泰の戦中戦後三部作」として「やくざ映画」を語る際の一ページに加えられるものである。「松竹」の招聘策はマキノ雅弘監督にまで及び、「男の顔は切り札」が67年正月作品に並ぶが、「日本侠客伝」を焼き直した様な「粋・いなせ」なマキノワールドに馴染まず、マキノ一家の芸達者の中で浮いてしまった安藤昇が居ただけの失敗作であった。
それから間もない2月、「白昼の惨殺」を最後に「東映」に移籍するまでの短期間が、「松竹の安藤昇によるやくざ映画の時代」であった。
所謂「やくざ映画」に固執しなかった結果、「松竹」に「国民的映画」とまで評された長期シリーズ「男はつらいよ」の僥倖が訪れる。山田洋次監督が落語から題材を盗ったりしていた、「馬鹿」「風来坊」シリーズの愛すべき庶民派アウトローの延長上にある「寅さん」は、将に「松竹」ならではのキャラクターと言えるものであろう。
松風町にさざめく灯ともし頃が訪れると、リアカーに設えられたおでん屋の屋台が小路や辻に散在していた。長めの、木枯し紋次郎が咥えていた様な竹串に、蒟蒻や竹輪に玉子、蒲天ウインナーから蛸烏賊、つぶ貝あわび等が刺し込まれバットの中で湯気を立てていた。隣に据え付けられたボールには、鶏ガラと削り節昆布で採った出汁を醤油と砂糖で味付け、小麦粉のトロ味を加え擂り生姜と胡麻を混ぜ込んだ浸けダレが食欲をそそる匂いを漂わせていた。勝手に手を伸ばし浸けダレに一度だけ潜らせ食して、残って並んだ串で料金を支払う自己申告システムで、酒類のない立ち食いのおでん屋だった。それぞれ自慢の味であったろうが、日活劇場前の辻に出ていた味が自分には一番美味だった。
決裂した話の興奮から屋台をひっくり返すシーンで、その重さから上手くひっくり返らず、「ガタン」とズレタだけの一場面が思い出される「逃亡と掟」では、床机とコップ酒が映されていたのを思いながらのもう一串、ボールのカーブと竹串の弾性が程よく、浸けダレに心地よく潜っていた。


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2008/11/17
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (6:33 pm)

 「血と掟」の興行収益の結果から「松竹」は、独立プロ制作「やくざ映画」を矢継ぎ早に公開して行くが、その継続は余りにも短かかった。「掟シリーズ」に並行して竹脇無我や高宮敬二がシリーズ物を撮るが、大半が安藤昇作品の併映ものでいずれも軌道に乗る事は無かった。
 「やくざ」に「青雲」は無いだろう、と感じた竹脇無我の「青雲やくざ」は、案の定二作でシリーズを終えた。「男の紋章」の現代版を目論んだ様な作品であったが、「裏社会」に踏み込めない「松竹」の揺れを見せている様でもあった。竹脇無我は「日活」渡哲也、「東映」岡崎二郎と前後してデビューした「松竹の新星」であり、この後「怒りの男」等を撮るがアクション作品での期待にそぐわず、やがてTVに活路を拓いて行った。「仮面ライダー1号」で知名認知される藤岡弘も、この頃この周辺でデビューをしている。
 クラブ歌手役で安藤昇が出演し挿入歌を唄った「やさぐれの掟」に至っては、「掟」の名前を冠にして安藤人気にあやかろうとした際物中の際物企画であった。それでも際物が功を奏した面が若干あり、主演高宮敬二に加えて清水まゆみや初名美香、新藤恵美らで「東京無宿」「顔を貸せ」とスケ番ものが三作まで続き、「松竹」制作で無い独立プロものの際どさを見せていた。
 そんな中で、後の日活作品「斬り込み」に評された、「終わってみると皆死んでいた」を先駆けた様なのが「暴力の港 虎と狼」であった。漁港の利権を巡る浜虎と塩辰一家のの暴力劇で、いずれが虎か狼かは失念したが丹波哲郎と内田良平競演の田舎町での市街戦が凄絶な作品だった。丹波哲郎に幾分かの理があったと記憶するが、特攻帰りの虚無感に暴力性が際立っていたモノクローム作品、火野葦平原作であった。
 「掟」シリーズ二作目の「逃亡と掟」は函館が舞台で、当然ながらの函館ロケ、そして舞台挨拶が行われ生の実物の安藤昇を見て、「新宿無宿」の歌声を聞いたのが十八禁の「函館セントラル」だった。市役所付近の広小路のビル、松風町の通りと小路、見覚えのある風景に逃亡者南(安藤昇)が嵌め込まれ、刑事田中春男と対峙する立待岬、黒塗りの車に乗り込む文太組長の恐い顔等が断片として残る「逃亡と掟」である。

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2008/10/17
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (11:30 am)

 「裏社会の表」を情感たっぷりに描いて隆盛していた「東映」に対し、「裏社会の裏」で「やくざ映画」に斬り込み参入したのが「松竹」であった。その作品、元安藤組組長安藤昇主演の「血と掟」は十八禁(十八歳未満入場禁止)の成人指定映画として、やはり同く指定された大島渚監督の「悦楽」と共に公開された。正確には独立プロ「第七グループ」制作で「松竹」配球の形を採っていて、正面切って「やくざ映画」如きに手を染めないと言った老舗「松竹」の面子とお家の事情が見え隠れしていた。
 背伸びした緊張感を漲らせて「函館セントラル」の一線を越えた十七歳の高校生は、モノクロームの押さえた画面と言うより、独立プロ故の低予算光量不足の画面に魅いって行った。「東映任侠映画」で見慣れつつあった「裏社会の表」とは異質な世界で、丁度、華麗流麗な東映時代劇の殺陣を見慣れた眼に、「用心棒」「椿三十郎」の黒澤作品が飛び込んで来た時の様な迫力を覚えた。小林正樹監督「切腹」やTV映画から出発した五社英雄監督の「三匹の侍」、そして「東映」の集団時代劇の殺陣や擬音に本物を観たと思い込んだ感覚が蘇えっていた。自伝「激動」と映画「血と掟」の後先は失念したが、物語ではない実話と思い込んだ画面に描かれる真迫力の暗黒世界に、紫煙の煙るスクリーンで釘付けにされていた十八歳未満の十七歳であった。
 乏しい知識から来る安藤昇本人の既成概念と実際の存在感が混合され、脇を固める俳優の馴染みの無さから来る不気味さが相俟って、血の匂いと痛みを目の当たりに体感している興奮を覚えた「血と掟」は、興行的にも成功を納め「掟シリーズ」が四作を数える事になる。三作目の「望郷と掟」には「松竹」が制作で名前を並べ、野村芳太郎監督がメガホンを採り、安藤昇が題字を揮毫するパフォーマンスがTVに流れる、と言った扱いに変って行った。「松竹」が関わって来ると比例し、映し出されただけで存在してしまう「裏社会の裏」の暗黒性や凶暴性と言ったものが希薄になり、むしろ「裏社会」の裏から表へ「掟」をかなぐり捨てて、義理なり人情の衣を纏って這い出そうとする方向性を持っていた。四作目の「炎と掟」に至っては制作「松竹大船」の単独であり、初期の裕次郎を育てた井上梅次監督作品であった。

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2008/09/08
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (8:50 am)

「まどか荘」は木造モルタル二階建て、上下に廊下を挟んでハーモニカ状に三畳一間が並ぶ大所帯、百人下宿と称される下宿屋だった。柏木町の電停を降り、東高校の正門を右に見ながら突き当たる五稜郭公園の外れを左にした、当時は「字亀田」にあった。下宿の裏はひたすら野ッ原、真っ直ぐ延びた鉄道線路の跡地を行くと、有斗高校の脇を通って日吉町のラサール高校近くまで一本道であった。
他校の生徒も混じった下宿屋生活の様々な個性の同居は、乱雑で楽しく、幼い世間の目を開かせて呉れた。ほぼ全部の同居人でソフトボールに興じた日曜日や青丹赤丹猪鹿蝶花見で一杯に明けてしまった朝、強面「番長クラス?」との幼い戯れ、幾つかの部屋から漏れる様々な音楽音声等々、高専の上級生と英語で「白鯨」を読もうとした、長続きしなかった努力の一瞬もあった。
椴法華で漁業を営む下宿屋の食事は、焼いたか煮たかの朝夕連日「お魚定食」で、「肉類」を渇望する年代の不満は尽きなかったが後に、回りの人間より魚の食べ方に長けているのに気が付いた時は、妙な懐かしさを覚えたりもした。持たされる弁当のおかずが「煮豆」一色の事もあり、気の毒に思った友人がおかずを分けて呉れた事も懐かしい。

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2008/09/07
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (2:00 pm)

 浪士と無頼の徒、権力下の組織としての「組」と逆説的に認知された「組」、浅葱のダンダラ羽織に「誠」の旗印と印半纏に代紋、武士道と任侠道或いは侠客道、新撰組とやくざ組織はその存在の有り様として同一視出来よう。
 武士道と侠客道が似て非なるものか、非して似たものかの論拠は持たないが、共に理想とする精神の在り方を説くものと理解は出来る。源平以来連綿と続く武家社会に於いて培われ築かれた、謂わば武家政治の根幹を成すのが「武士道」であり、カブキ者が世間に背を向けた悪場所の掟が「侠客道」であろう。成文化された憲法でさえ解釈の違いが散見されるのが常である、まして精神の道を説く二つの「道」の解釈は多岐に亘っていて必然であろう。「武士道とは死ぬ事と見つけたり」と「赤き着物か白き着物か」に差異は無く、違いは公私に起因するものと言い切るのは乱暴過ぎるであろうか。
 幕府統治下に於ける未認可組織は、公称である「組」を名乗ることが出来なかった。その栄えある称号を与えられた浪士達にとって、「組」は「武士道」そのものであったと思える。当然やくざ組織は「組」を名乗れる筈もなく、この事は「清水組」でなく「清水一家」であり、「国定組」でなく「国定一家」であった事に見るられよう。「組」と言う冠称には官称としての格式と「め組」等から来る「いなせ」な響きあり、明治の元号も馴染んだ頃には土建港湾業等に拡がり、やくざ組織にまで及んで行ったと推察出来る。
 ともあれ函館には五稜郭に代表される箱館戦争の古跡が、歴史としては旧幕脱走軍の将である、新撰組副長土方歳三に縁のものが散在している。若松町の一本木関門跡は土方戦死の地としてあまりにも有名で、その碑に供えられる花は絶えたことはない。現存する端整な肖像写真はアイドルキャラクター的扱いで、多くのグッズに加工され土産品店に並んでいる様は、判官贔屓を超え新撰組の狂気も超えて「伝説のヒーロー」の域に達していよう。
 雨戸の潜り戸から土間に入り、羽織を脱ぎ虎徹を静かに抜いて斬り結びながら二階へ、階段から転がり落ちる勤皇の志士。池田屋の近藤勇と新撰組のあるべき姿は決っているのであって、鞍馬天狗とは敵味方を超えた友情がなければならないのである。そうした観点で、監督加藤泰の視点は視点として、私の好みに合わなかったのが「幕末残酷物語」の新撰組であった。


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2008/08/05
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (8:33 am)

「東映任侠映画」は「髷の無い時代劇」とも言われ、その隆盛は辛うじて「大殺陣」「集団奉行所破り」等「集団時代劇」で繋いでいた「時代劇」の終焉を示していた。時代劇最後の太刀回りは、「東映時代劇」を支えていた中村錦之助と大川橋蔵が担う事になるのだが、その主演作品名を見るだけでも「任侠」方向への歩み寄りを見る事が出来る。橋蔵は「大喧嘩」「御金蔵破り」「任侠木曾鴉」「天保遊侠伝 代官所破り」であり、「ばらけつ」「旗本やくざ」等で新基軸を模索するも策が尽き、「銭形平次」等でTV映画への活路を斬り開いて行く事になる。錦之助は「武士道残酷物語」に続く大作「仇討」、シリーズを完結させる「宮本武蔵 巌流島の決斗」を終え、「日本侠客伝」の主演を高倉健に譲り「股旅 三人やくざ」「沓掛時次郎 遊侠一匹」で髷を結うが、「花と龍」「花と龍 洞海湾の決闘」で侠客を演じ、66年5月の「丹下左膳 飛燕居合斬り」を最後にしばらく「東映」を留守にする事になる。
勧善懲悪のお伽話が主流だった時代劇も、その終焉期では人間性に焦点を当て、擬音や流血と共に思想をも主題とする作品が、武士道を疑問視し否定すると言った形で制作されていた。芹沢鴨の縁者であって竜馬の間者と言う、誠に劇的な主人公で描かれた「幕末残酷物語」は、監督加藤泰のそうした観点からの新撰組ものであった。幕末の混乱期故に武士になることが出来た浪士集団が、武士で在り続けるために有形無形の武士道に固執し、自虐なまでの厳しい隊則を以って、都合の良い自戒を強いる狂気の集団として新撰組を位置付けた作品であった。
存在した僅か四、五年の間に二十八人もの切腹、斬首者を記録する異常さは、如何に幕末とは言え常軌を超えていよう。しかし幕府から軍制組織の「組」の称号を拝命した浪士達にとって、「武士」と「武士道」に命を賭けて殺戮を重ねるのが、執るべき唯一の道だったとも言えよう。「毒には毒をもって制す」「御用暴力団」「特殊警察部隊」と新撰組を位置付けた監督加藤泰の、視線の確かさを感じた「幕末残酷物語」であった。尤も、そう感じたのはかなり後になっての事であって、話の暗い残酷な殺戮白黒映画でしかなかったのが当時であった。加藤泰監督は同じ様な視線で後年、「炎のごとく」で会津の小鉄に絡めた新撰組を捉えている。


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2008/06/21
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (7:46 pm)

 鶴田浩二「関東やくざ者」が役名大谷清次郎を引き継いで北関東での、シリーズ二作目として製作された後、鶴田高倉の競演作品「日本侠客伝」三作目「関東篇」が公開され、この二人を以っていよいよ「東映任侠映画」は、満開に向けて開花を重ねて行く事になる。更に鶴田浩二は「次郎長三国志」シリーズも併行させながら、「暗黒街仁義」を撮って「博徒」「関東」に次ぐシリーズを模索していた。
 一方で鶴田高倉に続く任侠スター鉱脈発掘が着手され、錦糸町のラストシーンが記憶に残る高城丈二の「無宿者仁義」や「流れ者仁義」が製作され、鶴田浩二の「暗黒街」「無頼漢」と続いた「仁義」シリーズとの混乱もあった。松方弘樹の「明治暗黒街 やくざGメン」、翌年の梅宮辰夫「遊侠三代」千葉真一「浪曲子守唄」等と若手が着流し振りを披露するが、終ぞこの中から鶴田高倉に次ぐ任侠映画主演スターの輩出はなかった。尤も「東映任侠映画」群として記憶に残る作品はないではないが、彼等が力を見せるのは「任侠映画」衰退期であり「実録路線」に変わってからの事であった。
 任侠映画スターとして華やかさには欠けるが、任侠映画創生期とも言えるこの時期に多くの作品に顔を見せていたのが、意外にも歌手村田英雄であった。主題歌を唄った「人生劇場 飛車角」と前後して「東海遊侠伝」等日活作品数本に出演し、その後「浅草の侠客」辺りから東映専属の様な出演本数を数えている。「任侠男一匹」「男の勝負」等主演作も多く、歌手としての持ち歌から来る男くささと、浪曲出身と言う格好の台詞回しが功を奏し、その知名度が未だ層の薄かった出演陣の一角を占めさせたと思われる
 梅宮辰夫に関してはこの頃から、多少系統の違った路線「お色気併映作品」を主演作として持っており、「夜の帝王シリーズ」と名付けらた「ひも」「いろ」「だに」「かも」等に分野を開き、この流れが後の「番長シリーズ」に繋がって行く。
 「お色気併映作品」は「番外地」が人気となれば「おんな番外地」を、「日活」作品「非行少女」が話題になれば「非行少女ヨーコ」を、と言った様に分別無く製作されていた。こうした傾向は「東映」に限らず、各社似たような併映作品に手を変え、品を変えていた。

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2008/05/11
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (5:51 pm)

カラー作品となったシリーズ二作目の「続網走番外地」が、「関東やくざ者」と共に封切られたのは夏休み前だった。ロケを追い駆けはしなかったし、ロケ風景に出会いはしなかたが、函館の街はその港町としてのノスタルジックでエキゾチックな佇まいと、詩情を感じ得ずにはいられない風景と手頃な街の大きさから、多くの作品ロケ地として使われていた。自分の高校生活三年間だけでも、そして自分が知る限りでも、前出の「夕陽の丘」と本作「続網走番外地」が有り、この後、安藤昇「逃亡と掟」と渡哲也「骨まで愛して」のアクションもののロケ地となっている。他にこの時期「飢餓海峡(東映)」「落葉の炎(日活)」のロケ地に使われたことになっているが・・・。
一作目の人気に急遽、と言った感じの「続網走番外地」は、急製乱造そのものの作品であったが、人気シリーズ派生の勢いがあった。函館へ向う連絡船の左手に函館山が見えたり、16mmフィルムと思しき寝惚けた画面が繋ぎ込まれたり、とロケ隊移動中の時間をも惜しんだ撮影の苦心が見て取れる愛嬌があるものも、シリーズパターンの原型が随所に散りばめられていた。歌詞を変えて主題化が挿入されるのもそのひとつで、函館駅から連絡船桟橋への通路辺りで撮られたラストシーンに、「馬鹿を、馬鹿を承知のこの稼業、赤い夕陽に背を向けて、無理に笑った渡り鳥、その名も網走番外地」が映えていた。
函館ロケは日活作品に馴染みがあり、有名どころではアキラの「渡り鳥(日活 59年〜62年)」シリーズ、実質第一作の「ギターを持った渡り鳥」と最終作「北帰行より 渡り鳥北へ帰る」が思い起こされる。「赤いハンカチ」も函館ロケとされているが、何度観直してもその箇所を見付ける事が出来ないでいる。


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2008/04/30
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (10:23 am)

「大映」のヒットシリーズとなる「兵隊やくざ」「若親分」が封切られた頃、無事進級出来た4月は「網走番外地」「関東流れ者」が公開され、将に「東映任侠映画」開花宣言の春であった。
 宇都宮の渡世人大谷清次郎(鶴田浩二)と馬頭三五郎(大木実)の仁義と絆を、「弾き出された半端な命、捨てても未練が有るじゃなし」と謳い上げた「関東流れ者」は、任侠世界に於ける「義理も人情も紙風船だ」の暗黒の真実に敢えて眼をつぶり、挿入歌「兄弟仁義」の「こんな小さな盃だけど、男命を賭けて呑む」に縋って信じ込み、被虐性を美意識にまで昇華させるに足るものであった。
 後に傑作秀作とされる他作品に、完成度と言う点では及ばない上、感情移入の着火点であるプログラムピクチュァーとしての後見作品群も、未だ集積されていない時期にあって、「博徒」よりは少しだけ「表社会」方向に振られた、その後の「東映任侠映画」を模索した作品と言えよう。追い詰めた敵役の親分内田朝雄の命乞いをする娘藤純子に、振りかざした脇差の持って行き場を見出せない鶴田親分が居て、この格好悪さが鶴田浩二の格好良さと映った作品でもあった。
 冒頭の警察主催剣道大会で、博徒同士が優勝争いをする大らかさが良く、勿論鶴田親分が優勝するのだが、遺恨を持って闇討ちを掛ける三五郎と心を通わせる筋立ては、何とも良き時代を彷彿とさせていた。この時期の大木実は見事に渡世人に嵌っていて、実直一直線の役柄そのままに「東映任侠映画」の推進に寄与したもの大であった。
 本篇「関東流れ者」に併映されたのが、白黒作品の「網走番外地」であり、流氷の連なるオホーツクの沈んだ光景に、「遥か、遥か彼方にゃオホーツク、赤い真っ赤なハマナスが・・・」の主題歌で始まる、関東龍神一家橘真一(高倉健)の母恋脱走劇であった。
 「脇差を、脇差を片手に殴り込み、斬った張ったのこの渡世」の科で「人里、人里離れた山の中、この世に地獄があろうとは」に収監された真一が、母親の危篤を知り「ひとり、ひとり暮らしのお袋に、極道重ねた罰当たり」の悔恨を持って、手錠のままの脱走を敢行して失敗するだけのストーリーであった。しかし、捨て台詞を呟くように吐きながら、トッポイおとこ気を存分に魅せた高倉健が水を得て素晴らしく、嵐寛寿郎、南原宏治、田中邦衛、阿部徹、砂塚秀夫、待田京介等の癖ある個性がぶつかり合う「ム所環境」が白黒のスクリーンを彩った結果、高倉健の人気を不動にするまでにシリーズとして成長する、「添え物作品」発の第一作であった。


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2008/04/17
カテゴリ: 函館 : 

執筆者: y-jimbo (10:35 pm)

常識的家庭的下宿に居た結果、「深夜興行」デビューは亀田町「まどか荘」に移ってからだった。未だ柵なり塀なりの無かった史跡五稜郭の堀端を歩いて、建設中のタワー下を抜けると、電停「五稜郭公園」に続く繁華街が灯を瞬かせていた。電停への左側に在った「五稜郭東劇」で三本立てを観て、店先でおでんが湯気を上げている隣の食堂で夜食を済ませ、二十分位市電に揺られて「松風町」まで行き、休日前夜の身を「深夜興行」に委ねるのが大概であった。「五稜郭東劇」は「日活」作品が主流で、照度も反射率も悪いスクリーンでの「出撃」「無頼の徒 さぶ」が記憶に残って居る。
二年生に進級出来たであろう春休み、中学時代の友人三人と函館青森への鈍行旅行を敢行した。森駅で「いかめし」と共に買い求めた「えび天弁当?」は、甘辛く味付けされた甘えびの天ぷらが白米を覆って乗せられていて、後を引く美味しさがあったが、その後終ぞ見掛ける事の無かった「幻の駅弁」であった。急行で四時間の苫小牧函館間が何時間掛かったかは覚えていないが、何の宛てないふらり旅の第一夜は三畳一間のトリプルユースであった。青函連絡船百十三キロ四時間の船旅で着いた青森でも、特段することも無い旅の宿泊先は「深夜興行」の映画館、何度目かのアキラ「ギター抱えた一人旅」他の三本立てであった。
「深夜興行」のはねた後、幾度か「青函連絡船」の旅をするようになる、思えばこれが端緒であった。



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